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チャリティー・プラットフォームと
シビック・フォース


 3月11日の東日本大震災から4日後の15日、私のパソコンに一通のメールが届きました。メールを送ってきたのはチャリティー・プラットフォームという組織です。

 メールの趣旨は、震災の翌日に被災地に民間の緊急援助チームが入って活動を開始したことの報告と、この援助チームの活動を支援するための募金協力の依頼でした。

なかなか届かない義援金

 1995年の阪神・淡路大震災で集まった義援金はおよそ1,800億円でした。今回の大震災に寄せられた義援金は、日本国内だけではなく海外からも多く寄せられており記録的な額となります。実際、震災発生から3ヶ月が経過した時点で集まった義援金は2,700億円を越えています。今回の震災を目の当たりにして初めて寄付をしたという方も多いのではないでしょうか。

 阪神・淡路大震災の義援金を巡っては二つの問題がありました。一つは、震災の被災者が多かったため、被災者が受け取った義援金額が全壊した世帯あたり40万円にしかならなかったことです。1993年の北海道南西沖地震で被災した奥尻島住民が受け取った義援金は、全壊世帯あたり400万円でした。これに比べても阪神・淡路大震災の被災者が受け取った義援金は、余りにも小額だったことが分かります。

 もう一つの問題は、義援金が被災者に渡るまで余りにも時間を要したことです。阪神・淡路大震災のときは6カ月後に届いたといわれています。義援金の配分を決める義援金配分割合決定委員会が掲げた方針は「全被災者に平等にできるだけ早く届ける」でした。しかし、“平等に配分する”ことに余りにも忠実であろうとしたことが“できるだけ早く届ける”ことの障害になったのです。

 今回の震災では、義援金の配分を早める努力がなされています。4月8日に第一次配分基準が決まりました。死亡・行方不明者及び住宅全壊世帯へは35万円、半壊世帯には18万円の配分が始まりました。しかし、実際に義援金を被災者に渡す役割を負った行政窓口の処理能力が大幅に低下していることから、被災者への分配作業に手間取っているのが現状です。

 残念ながら、今回も国民の善意がタイムリーに被災者の手元に届かなかった結果となりました。

定額給付金を覚えていますか

 2008年10月、当時の麻生政権は経済対策の一つとして全国民に直接現金を配布することを決定しました。2009年3月、「定額給付金」として一人当たり12,000円、65歳以上、18歳以下には20,000円が配布されました。

 典型的な「選挙目的のバラマキ」ではないかと議論になりましたが、総額2兆円を大半の国民が受け取ったのです。

 当時、定額給付金の狙いと効果に疑問を持っていた人は多かったのではないかと思います。私もその一人でした。送られてきた申請書を期日までに提出しなければ給付金を受け取らずに済みます。しかし、申請は世帯単位で行うルールです。妻の意見を無視する訳にはいきません。妻の意見は「いただきたい」というものでした(笑)。

 定額給付金を手にし、「どうしたものか」悩みました。そんな思いを抱いていたときに出会ったのがチャリティー・プラットフォーム(Charity Platform)です。

 何か社会貢献を行っているNPOや活動団体に寄付をしたいが、どこにどの様な団体があるのか?それらは信用できる団体か?個人ではなかなか探し出せません。

 チャリティー・プラットフォーム自体は直接ボランティア活動を行っていませんが、チャリティー・プラットフォームを通じて180を超える社会貢献活動団体に寄付を行うことができます。

 寄付の方法は「すべてのNPO・NGO団体に寄付する」「NPO・NGO団体をカテゴリーで寄付する」「個別の団体を選んで寄付する」等から一つを選択することで、たとえ小額の寄付でも自分の好みに合った団体へ寄付を行える仕組みを作っているのです。

緊急の寄付協力依頼

 定額給付金をチャリティー・プラットフォームの仕組みを使って寄付できたことはとても納得のいく行為となりました。そのチャリティー・プラットフォームから3月15日に届いたメールには、被災地で緊急援助活動を開始した団体への資金援助を目的とした寄付金募集に協力して欲しいと書かれていました。

 早速、募集に協力したい旨、返電しました。二日後の3月17日に写真の募金箱が配送されてきました。

 緊急支援活動を開始したのは「シビック・フォース(Civic Force)」という団体です。この団体を支援するための寄付を集める募金箱です。

 店内に設置した支援金箱

 シビック・フォースが、震災の翌日、ヘリコプターをチャーターし、現地調査に入ったこと、気仙沼を拠点と定め緊急支援活動を既に開始したことの説明書が同封されていました。

支援の想いを実現する仕組みを作る

 シビック・フォースは2年前に設立された比較的新しい団体です。ホームページには「緊急災害発生時、即時に情報収集を行い、先遣隊のためのヘリ手配などロジサービス、備蓄物資を活用した支援活動、パートナーとの連携による支援活動を実施します。」と書かれています。

 これだけでは、活動の内容がいまいち理解できません。そんな思いを抱いていたとき、4月17日、NHK「サキどり」という番組でシビック・フォースの取り組み事例が二つ紹介されていました。

 ひとつは、東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町で、待ちに待ったお風呂が避難所に作られ、住民が喜んで入浴している様子です。このお風呂は香川県の社員わずか3人の小さな会社が「被災した人々を癒したい」との思いで、得意の建築技術を使って急遽製作した組み立て式のお風呂でした。

 四国の小さな建築会社が被災地に送った組み立て式の木製風呂


 もうひとつは栃木県那須塩原市にあるパン屋さんが開発した、まるで焼きたてのようなふかふかの“缶詰パン”です。小さなパン工場で社員が総力をあげて焼き上げた缶詰パンを、トラックに乗せて被災地まで運び、それを受け取った被災者が、まるで焼きたてのような香りと風味を保ったパンに驚きと喜びを交えて食している様子が映し出されていました。

 缶詰パンが開発されるきっかけは阪神淡路大震災だったそうです。当時、パン屋の社長である秋元さんは被災者を何とか支援したいとの気持ちでロールパンや食パンを神戸へ送くりました。しかし、残念ながらその大半が賞味期限切れで捨てられてしまったそうです。この苦い経験から、秋元さんは1年かけて缶詰のパンの開発に成功、災害現場などへ無償で提供を始めました。しかし、大量のパンを被災地に届けることが会社経営の大きな負担となってきたのです。

缶詰パンの製造風景
(NHKホームページより)


 組み立て式のお風呂を届けたいと考えた香川県の会社も、現地に運んで組み立てる資金も搬送手段もありませんでした。被災者が必要とし、喜ばれる商品や技術を持っていても、小さな会社では、資金面や商品の搬送に大きな制約があるのです。

 今回、被災地支援を行いたい企業の思いを実現させたのが「シビック・フォース」でした。シビックフォースは、支援を考えている企業と連携して被災地の支援活動を展開、さらに市民からの寄付により、中小企業でも活動に参加できる仕組みを2年間かけて整えてきたのです。今回、その仕組みが活きました。

シビック・フォースが作った仕組み
(NHKホームページより)

納得のいく寄付をしたい

 しぇあ〜どぷれいす高井戸店内に設置した支援金箱に寄付金を入れて下さる方は、日本赤十字への義援金箱と思われる方が殆どです。そこで、寄付を申し出た方には、「これは日本赤十字ではなくシビック・フォースという団体への支援金ですが、よろしいですか」と確認をさせていただいた上、寄付していただきました。

 「シビック・フォースのことはよく分からないけど寄付をしたい気持ち」と、多くの方々から寄付をいただき、募金箱が一杯になった4月半ばに、集まった募金をチャリティー・プラットフォームへ送りました。

 日本人は、欧米に比べ寄付の金額が少ないのは事実です。日本には寄付の文化が育たないと言う人もいます。文化的な違いは確かにありそうです。しかし、寄付の仕組みの違いや税制の違いが影響している部分も大きいのではないかと考えます。

 もし、自分が寄付したお金が、誰によって何のためにいつ使われたかが明らかであればより納得した寄付となります。

 「何か役に立ちたい」という気持ちが寄付という行為に結びついています。寄付金の使い道を自分で選択できる仕組みを知ることで寄付の習慣が根付いていくのだと思います。

2011.6.21  木下 利信