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ノウハウとノウフー


 本エッセイでは、たびたび「コツ」について取り上げています。コツとは「ものごとを処理する要領」と辞書に書いてあります。コツは何もしないで身につくものではありません。先ずは、体験からスタートします。体験が重なり、次第にそれが経験の域に到達したときにコツが身に付きます。

ノウハウはもともと技術分野の用語

 コツと同じような言葉にノウハウ(know-how)があります。「製品の開発・製造などに必要な技術や知識などの情報」がもともとのノウハウの定義です。しかし今では「ものごとのやり方」そのものをノウハウと呼ぶようになり、技術とは関係ない領域でも広く使われています。

 まさしくコツとノウハウはほぼ同じ意味合いを持つ言葉です。しかし、コツは「ちょっとしたコツ」という表現に代表されるように、簡単に学べ、また教えることも比較的容易なものも含まれますが、ノウハウという言葉には、身につけるには時間もかかり、それを他人に教えることも容易でないというニュアンスが含まれているように思います。

ノウハウの限界

 人生で楽しく感じる時はいろいろありますが、勉強や仕事を通じて自分が成長していることを実感できた時は、間違いなく楽しさを感じられる時です。

 一方、同じことの繰り返しで進歩がなくなると仕事への意欲が減退することにつながります。つまりマンネリ状態です。

 同じ仕事をするなら成長が感じられる仕事をしたいものです。仕事の進め方のコツやノウハウを先輩から教わることも大事ですが、自らの考えで工夫を見出すことができたら、楽しさは倍増するでしょう。

 コツやノウハウを身に付けるためには、それなりの努力と時間が必要となります。まさしく経験の積み重ねの結果でしか得られません。

 しかし、ときには自分の持っている経験だけでは解決ができない、あるいは解決に多大な時間がかかりそうな問題に遭遇します。そのとき、解決方法として浮上するのが、上司あるいは他人の力を借りて解決する方法です。

他人の知恵と経験を活用する

 自分で解決できない問題でも、その問題解決のノウハウを持っている人の力を借りることで解決が可能となります。このとき、問題解決ノウハウを持っている人を知らなければ助けを借りることもできません。

 問題解決できる力やノウハウを持っている人をいかに多く揃えられるかで、大きな仕事をこなす力に差が出てくるといっても過言ではありません。

 「人脈」という言葉があります。他人の知恵や力を借りるとき人脈が役立つことは間違いないでしょう。しかし、人脈という言葉には義理人情の匂いが漂います。実際、国語辞典によれば、「ある集団・組織の中などで、主義・主張や利害などによる、人と人とのつながり」と説明されています。つまり、「ある集団・組織」の中に入らない者に対しては、壁が立ちはだかることになります。

 集団や組織の枠を外れて、もっと広範囲に他人の知識と経験を使った問題解決方法を表す言葉として「ノウフー(Know Who)」という考え方があります。

 ノウハウはもともと技術分野の言葉でしたが、ノウフーは経営手法の一つとして社内の人材マップを構築し、それを活用することを目的とした言葉です。

<ノウフーとは>
「社内の誰が、どのような業務や技術に精通しているのかといった人材情報を蓄積し、検索できるようにした仕組み。人事データベースを発展させたり、社員自身に得意分野を登録してもらって構築することが多い。社内の専門知識やノウハウをスムーズに流通させるナレッジ・マネジメントには、欠かせない要素の1つ。」
 

個人でもノウフーは大切

 ノウフーは企業の組織による問題解決力を高める手法の一つですが、個人が抱える問題解決にも重要な役割を果たします。

 独立系FPを始めて重点的に作り上げてきたことがこのノウフーの広がりでした。FPが学ぶ領域は広範囲です。実際、FP資格を取得するための試験は「金融資産運用設計」「不動産運用設計」「ライフプランニング・リタイアメントプランニング」「リスクと保険」「タックス(税金)プランニング」「相続・事業継承設計」の6科目それぞれに合格する必要があります。試験に合格することで、各分野の知識レベルが一定の水準に達したことは確認できます。

 お客様からの問題を解決するにあたり、学んだFPの知識だけでは十分ではありません。多くの場合、今までの人生経験やFP相談の実務経験が役立ちます。しかし、時にこれらの知識や経験だけでは解決策が見つからない問題にも遭遇します。そのとき役立つのがその分野の専門家やそれぞれ得意分野を持つFP仲間との協業やアドバイスです。

 この問題は誰が解決策を知っている、あるいは持っているだろうかが分かれば、問題解決の協力をお願いすることで、最適かつ迅速な解決アプローチが見つかることになります。

ノウハウとノウフーを組み合わせる

 ノウフーの輪を広げることで問題解決能力が一段アップします。ではどうやってノウフーの輪を広げられるのでしょうか。交友、交際範囲の広い人がノウフーの輪を広げるのに有利であることは否定できません。しかし、単に多くの人脈を持つことと、いざという時、相手が協力してくれるかは別です。

 ノウフーを充実させるコツは、自分も相手のノウフーになれるかどうかだと思います。つまり相手にとって自分の価値を認めさせる存在になれるかです。ギブアンドテイクの関係が築けるかどうかとも言えるでしょう。ギブアンドテイクの中には、人柄も入ってきます。この人と付き合っていたら良いことがありそうだ、あるいは心が和むと思わせることです。

 定年退職を迎えた男性は、「会社から社会へ」の環境変化に戸惑います。「地域社会の活動に参加する時は、会社時代の肩書きを捨てなさい」とよく言われます。でも、あなたが他の人にはない経験やノウハウを持っていたら、地域活動に参加するとき、それは立派なギブのネタになるのではないでしょうか。

 仕事人間だった会社時代の人脈は意外と頼りになりません。残るのは仕事経験を通じて得た得意分野のノウハウだけです。肩書きや人脈に頼った地域活動ではなく、仕事で得たノウハウか、それがなければ人柄で勝負するしかないのです。

 人生経験を積むと、自分一人で知り得ること、できることはとても限られていることに気づきます。同時に、自分にはないノウハウを持った人々が多く存在することにも気付きます。ところが大半の男性は、仕事を通じて得たノウフー以外の関係は極めて細いのが現状です。

 一方、妻は圧倒的なノウフー力を築き上げています。独立系FPを始めたとき、妻のノウフー力に大いに助けられました。「男性はノウハウ人間、女性はノウフー人間」、妻をみていてつくづくそう思います。


 自分とは異質の友達を持つことが大切だと「友達ポートフォリオ」で述べましたが、ノウフーを構築するノウハウを持っている妻から学ぶことはまだまだ多そうです。

2010.1.30  木下 利信