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初めてのスペイン旅行


 11月7日、東京ビッグサイトの一角は大勢のシニアで賑わっていました。「海外ロングスステイ・国内デュアルライフフェア2009」の会場です。

 私はロングステイ財団の認定アドバイザーの資格を取得していることから、今年のフェアでは、受付の手伝いを引受けました。受付係の仕事の一つが来場者数の把握です。今年の来場者は8,000名を越えました。昨年より1,000名以上多い来場者数です。

 朝9時半の受付開始から、夕方4時半受付終了まで次から次へと来場者が途切れることがありません。交代で昼食をとるのがやっとでした。事前受付をしていたセミナーはいずれも満席状態です。

 大賑わいの相談コーナー

ロングステイ人気の国

 このフェアを主催しているロングステイ財団では、毎年人気のロングステイ先ランキングを発表しています。2008年の調査結果では、第1位がマレーシア、そして2位オーストラリア、3位ハワイ、4位タイ、5位ニュージーランドと続きます。

 1992年、16年前の調査結果と比べると幾つか変化が見られます。16年前のベストファイブは、ハワイが第1位で、2位以下はカナダ、オーストラリア、アメリカ西海岸、ニュージーランドでした。

 人気が変わらないのはオーストラリア、ニュージーランドです。ハワイは今でも人気の場所ですが、昔人気だったアメリカ西海岸やカナダに代わってアジアのマレーシア、タイの人気が急上昇していることが分かります。

 16年前も現在も、ヨーロッパの国がベストファイブに入っていません。海外ツアー先にはイギリス、フランス、イタリア、スイス等、ヨーロッパには人気の国々が多くあります。なぜロングステイ対象先としての人気はいまひとつなのでしょう?アジア各国に比べて生活費が高いことが一番の理由だといわれています。

シルバーコロンビア計画

 昨年、ロングステイアドバイザーの間で話題になった人物がいます。経済産業省の事務次官、北畑隆生氏です。北畑氏は「退官後は天下りなんかせず、スペインに移住する」、そう公言し続けてきました。その北畑氏が退官を迎えたのです。

 1985年のプラザ合意で急速に円高が進み、日本がバブル景気に向かっていた当時、通産省のサービス産業室長であった北畑氏が打ち出した政策が「シルバーコロンビア計画」でした。

 シルバーコロンビア計画の正式名称は、「豊かな第二の人生を海外で過ごすための海外居住支援事業」です。1986年に計画が発表され、6年後の1992年に事業を発足させることを目標としていました。1992年は、コロンブスがアメリカ大陸を発見して500年目となる年です。つまりシルバー世代の新天地を海外に築こうという意味が北畑氏立案のシルバーコロンビア計画には込められていたのです。

 北畑氏は、スペイン大使館勤務中にスペイン南部の保養地でイギリス人やドイツ人が老後を優雅に過ごしている様子を見聞していました。この時の体験がシルバーコロンビア計画のもとになったのです。

 しかし、この計画は実行に移されることはなく、構想段階で頓挫することになります。仮に計画が実行されたとしても目標が達成されることはなかったと思われます。当初計画にはこんな試算がされていました。「スペインの一戸建て住宅(200平方メートル)は700万から1,100万円、生活費が月10万から15万円で済むことから、2,000万円の退職金と月額20万円の年金があれば夫婦で退職後の人生を海外でのんびり暮らせる」。

 2002年に欧州統一通貨ユーロが導入され、流通や経済の状況が大きく変わりました。その後のユーロ高も加わり、スペインの物価はじりじりと上昇。結果として、スペイン現地での生活費は円換算で、シルバーコロンビア計画で想定した額の倍以上となったのです。「優雅な生活」からはほど遠くなってしまいました。

 昨年退官となった北畑氏、果たして念願のスペイン生活を始めるのか注目されています。

スペインを堪能する

 ロングステイフェアに先立つ10月下旬、妻と二人でスペイン旅行に行ってきました。今回の旅行も、知人の家を拠点とした個人旅行です。スペインの首都マドリッドに4泊、北畑氏が見聞したスペイン南部の保養地、コスタ・デル・ソルに4泊の日程です。

 スペインはイタリアに次いで世界遺産の数が多い国です。マドリッド滞在中は中世の風情がそのまま残っている「古都トレド」、そして今回の旅で一番楽しみにしていた、ローマ時代の水道橋が残されているセゴビアを訪れました。「セゴビアの水道橋」は圧巻でした。


古都トレドの全景


 紀元1世紀に造られたセゴビア水道橋


 スペインのほぼ中央に位置するマドリッドから南部保養地「コスタ・デル・ソル(太陽海岸)」には、知人の車で移動、東京から神戸へ6時間のドライブ感覚です。

 かつては静かな漁村に過ぎなかった海岸地帯が、20世紀後半に観光地化され、世界中にその名が知られる一大リゾートエリアになったのです。10月下旬でも日中の気温は25度を超え、半袖で丁度良いくらいです。別の知人が所有するリゾートマンションを使わせていただき、4日間の滞在を堪能しました。

 晴天の地中海を望む


白壁が基調の別荘が並ぶ


 丘の中腹に広がるリゾートマンション群


スペイン旅行で考えさせられたこと

 今回のスペイン旅行の目的は、世界遺産の見学、南欧リゾートライフの体験、そしてスペインの生活実感を得ることでした。

 世界遺産は古都トレド、セゴビア水道橋に加えて、コスタ・デル・ソル滞在中にグラナダのアルハンブラ宮殿も訪れることができました。そして、南欧リゾートライフ体験についても、毎朝、地中海の日の出を望みながらテラスで朝食をいただくという、ちょっとリッチな気分も味わうことができました。いずれも妻は大満足です。

 現地の生活実感についてもいろいろ体験をしてきました。地元スーパーの物価調査は妻の役割です。食料品は日本と比べて安いものが多いものの、住居費等を含めたトータルの費用は日本での生活費と大差ないというのが実感です。

 ロングステイ人気の高いアジア各国の場合、日本より生活費が安く済む(もちろんケースバイケースですが)ことが魅力の一つですが、スペインに滞在する場合は、生活費面でのメリットは期待できません。しかし、ゆったりとした時間を温暖な気候の地で過ごすという目的に対しては十分合致するように思えました。

 マドリッドとコスタ・デル・ソルの往復は知人の車に便乗させてもらいましたが、それ以外の移動は電車、バス、タクシー等の公共交通機関を数多く利用しました。殆どの表示がスペイン語だけであったり、英語をまったく話せないドライバーだったりと、コミュニケーションには苦労しましたが、不便な思いや不愉快なめに会うことはありませんでした。逆に、スペイン語で一所懸命我々に説明してくれる親切な人に多く接することになりました。

 今回の旅で、私が最も印象深かったのは、全国に張り巡らされた高速道路網、それに電車・バス等の公共交通機関です。歴史遺産を中心とした観光産業、そしてオリーブ生産量世界一を誇る農業立国がスペインに対するイメージでした。つまり、近代的なシステムという点では日本に比べ不便な面が多いのではないかとの思い込みです。

 しかし、この思い込みは見事に裏切られました。首都マドリッドと全国の主要都市間は、高速道路(殆ど無料)でつながれています。最高速度120キロメートルで快適なドライブが楽しめました。鉄道も新幹線(AVE)が主要都市間を結んでいます。そしてローカル列車も近代的な車両で、快適そのものです。首都マドリッドでは地下鉄網も整備されており、周りのベッドタウンからの通勤手段となっています。

 日本よりはるかに整備されているのがバス路線です。市内バスだけなく近郊都市を結ぶ路線、更に遠距離を走る高速バスが網の目に張り巡らされていることに驚きです。乗車賃もリーズナブルです。

 妻は、高速道路網が素晴らしいことに驚き、次にスペインを訪れる際には、自分も国際運転免許証の取得が必須だとの思いを強くしたそうです。


トレドへは新幹線で30分


 ローカル列車もスマート


 マドリッドの地下鉄


 コスタ・デル・ソルを30分間隔で
走る人気の路線バス


 統一されたタクシーのデザイン


 時速120キロで延々と続く
オリーブ畑の中を走る


 スペインの世界遺産は40を越えています。今回訪れたのは、ほんの一部に過ぎません。次回のスペイン訪問は、長期滞在の実現と残された世界遺産巡りが、我々夫婦の目標となりました。

 23年前に北畑氏が打ち出したシルバーコロンビア計画は絵に描いた餅で終わりました。しかし、団塊世代のセカンドステージが本格的に始まったことが、今回のロングステイフェアの盛況振りを支える要因となっていることを考えると、今後の海外ロングステイ先としてスペインが再び注目される予感がします。海外長期居住の目的が経済的メリットだけとは思わない価値観が団塊の世代に広がる可能性が大きいと考えるからです。

 今回のスペイン旅行は、事前の思い込みの誤りに気づかせられる旅となりました。現地の生活に直接触れることで分かること、発見することは多く有ります。決められたコースを巡るツアー旅行とは違う、ロングステイの良さを疑似体験した旅となりました。

'09.11.21  木下 利信