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発生する問題と発見する課題


 体験と経験をしっかり使い分けることで仕事の進め方が一味違ってくる。そんなテーマを前々回のエッセイで取り上げました。

 仕事の場で良く使われる言葉に「問題」と「課題」があります。これも似たような言葉ですが、大きな違いがあります。この違いを理解しないと問題と課題を使い分けることができません。問題と課題を使い分けることで、仕事を進めて行く上でのコツが一つ得られるのです。

そもそも問題とは

 人は日々問題に遭遇しています。「問題」という言葉を連発している人も多くいます。余りにも身近な言葉ゆえ、問題の正確な意味を捉(とら)えているかというと、話は別です。

 特に、仕事の場では、共通の理解に立った上で「問題」という言葉を使う必要があります。

 では、問題の定義とはなんでしょう。定義は極めてシンプルです。「あるべき姿」と「現状」との差、『ギャップ』が問題そのものです。

 もし「あるべき姿」を持っていない場合、問題そのものが存在しません。また、現状が分からない場合も、問題が明らかになりません。つまり、問題を語る場合は「あるべき姿」と「現状」の両方が明らかになっている必要があるのです。

「あるべき姿」は、通常「目標」と言い換えることができます。問題が「あるべき姿」もしくは「目標」と「現状」のギャップだと理解すると、問題解決の方法が二つあることが理解できます。一つ目は現状を目標に近づけることでギャップを埋める方法です。もう一つは目標を引き下げてギャップを埋めるやり方です。

 「5,000万件の消えた年金を最後の1件まで明確にする」という目標に固執していたのでは、いつまで経っても問題は解決しないことになります。現実的なあるべき姿を提示した上で、早期の問題解決を図る知恵が政治家に求められています。


 仕事の場では、目標は上司から与えられます。営業であれば、今期の売上高となります。これを「付与目標」と言います。一方、自ら目標設定することもあります。これを「設定目標」と言います。

 上司から与えられる「付与目標」は、自分では変えられません。問題解決のために自分でできることは現状を目標に近づける(売上げを上げる)しかないのです。しかし、これには大変な努力やエネルギーを必要とすることが一般的です

問題と課題は、似て非なるもの

 「問題」と共に、仕事の場でよく使われる言葉に「課題」という言葉があります。会議の場で、「何々の問題及び課題は・・・」と、同時に使われることも多くあります。しかし、問題と課題を同列に扱うことは間違っています。

 課題の定義もシンプルです。「解決すべき問題」、これが課題の意味です。そして、単なる問題と解決すべき問題の間には大きな違いが存在します。

 問題は英語でプロブレム(Problem)、課題はイッシュー(Issue)と言います。会議の場で、議論が散漫になってきたとき、議長が「イッシューは何のか?(What is an issue?)」と発言すると、会議の雰囲気が一瞬ピリッとします。
 イッシューは解決すべき問題ですから、「討議すべきイッシューは?」「解決すべきイッシューは?」「イッシューに対するアクションは?」といったように、問題解決に向かっての議論に集中することになります。

 課題(イッシュー)でない問題を議論するのは時間の無駄につながります。しかし、上位の立場にある人が課題と問題を混同していると、議論は発散するばかりになりかねません。あるべき姿を変えるだけで、問題はいくらでも定義できるのです。「それは意識の問題だ」とか「それは組織の問題だ」などという発言が出てくるようだと早めに会議をやめにした方が時間の節約です。 

 問題と課題の違いを理解すると、解決する必要の無い、あるいは解決の優先度の低い問題がたくさんあることに気づきます。仕事の場では、解決の必要はない問題は放置して構わないのです。上司の仕事は、部下が忙しく走り回るよう、問題を次から次へと与え続けるのではなく、取り組む必要の無い問題を教えてあげることです。

仕事と問題解決は同じ

 エッセイ「首相の仕事」の中で、仕事の始まりと終わりについて説明しました。仕事は「目標を設定した時(目標が設定された時)に始まり、目標を達成した時に終わる」。つまり、仕事をするということは、問題の定義である「現状」のラインを「あるべき姿」に近づける行為そのもの、問題解決が仕事そのものなのです。

 大きな目標に向かって仕事をする際の
コツの一つが目標を分解することです。大きな目標に向かって、今日は、今週は、今月はここまでやることを定めます、これを中間目標と言います。この中間目標を適切に作れると、仕事の進捗が分かりやすくなります。目標に向かってがむしゃらに突っ走るのではなく、中間目標に向かって着実に前進させていくことが大きな目標達成のコツなのです。

 仕事はいつか終わりを迎えます。目標を達成する形で問題解決するのが理想ですが、時には目標未達成のまま仕事を終えることもあります。定年退職を迎えた時、勤めていた会社で自分はなにをやり遂げたかったのか、そのことが明確なら、やりたいことがやり終えたのかどうかの判断ができることになります。しかし、そのことを自覚していなかった場合、長い会社員生活はなんだったのか、と疑問を残したまま退職を迎えることになります。

 会社員の方々には、定年までの時間になにをやり遂げたいのか是非考えていただきたいと思います。これは自分で決められる問題、即ち設定目標です。

課題が発見できることが大切

 仕事イコール問題は上司から与えられると述べました。それ以外にも、問題は突然、発生したり、自分の失敗が新たな問題を引き起こすこともあります。つまり問題は自分の意思とは関係ないところで「発生」することが多いと言えます。

 一方、課題は与えられる場合もありますが、自ら作り、発見することができます。自分はどうありたいか、自分に欠けているものは何か、そしてそれらが自分にとって重要事項であるなら立派な課題です。

 独立系FPを始めるにあたって、生活習慣病にかからない体質造りを課題に掲げたことを「ダイエットの秘訣」というエッセイで紹介しました。目標達成の要因の一つが、問題の重要度を自覚したことだったのです。

 与えられた仕事をこなしながらも、自分で見つけた課題にチャレンジしていく姿勢が身についたら、先手を打った仕事の進め方を覚えることにつながります。そして、自分の成長を自覚できる楽しさも味わえるのです。

FP相談のポイントは課題の発見

 FP相談のポイントは、クライアントが直面している問題をどう捉えるかです。生命保険の見直しが相談の切っ掛けだったとしても、本当の問題は相続の心配だったりします。

 解決すべき問題が、必ずしも明確になっていない場合もあります。従って、クライアントの現在及び将来に渡っての資産状況、すなわち現状を正確にお聞きすることと同時に、今後希望あるいは期待する状況をしっかり確認させていただくことが極めて重要です。

 現状とあるべき姿の差が明らかになって初めて問題が定義できるからです。

 問題は金銭的な事柄だけではありません、家族関係や健康状態などが問題となっていることもあります。複数の問題の中から解決の優先度が高い問題を、クライアントと一緒に課題として共有できた時点で、問題解決は一歩踏み出せているのです。

 クライアントから説明された問題を理解するだけでなく、本当の課題をクライアントと一緒に見い出し、それを共有できるFPとなる。それが、今の私の課題です。

'09.9.11  木下 利信