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果因(かいん)の法則


 私が企業で働き始めた最初の職場は「品質保証部」でした。職場では品質管理の知識が必須です。品質管理では、商品の品質を一定の規定値内に収めることが重要になります。規定値から外れたものが不良品です。不良率を下げるため、不良品が発生する要因を突き止め、設計変更や製造工程変更等の改善を行います。その為に「QC7つ道具」といった手法を役立てます。

 日本の製造業は、品質管理の徹底や品質工学の活用などで世界水準の高品質、低コストの製品を作り上げる技術力を磨き続けてきたことはご存知の通りです。

 私が最初に配属された職場で出会ったQC7つ道具が、その後の会社人生、そしてセカンドステージの過ごし方に少なからず影響を与えてきたのです。

魚の骨で問題と要因を書き出す

 QC7つ道具の中の一つに「特性要因図」があります。図の形が魚の骨の形に似ていることから「魚の骨図(Fish Bone Chart)」とも呼ばれています。


特性要因図の例 (FK-PLAZAホームページより)

 魚の骨図では、右側の魚の頭部分に目標や問題点が入ります。図では「肥満を直す」という目標が書かれていますが、「肥満になった」という問題の形で表現しても同じことになります。

 そして頭以外の部分が魚の骨です。そこには肥満を引き起こす原因と考えられる大きな要因が「運動」「食事」「医薬品等」「知識」「病気」といった項目で書かれています。これを大骨(おおぼね)と呼びます。さらに各大骨にはそれらの項目を構成する小項目、つまり小骨(こぼね)が書かれています。

 小骨の一つ一つすべてが肥満を引き起こすとは限りません。しかし、小骨の幾つかは肥満という結果に影響を与えます。影響を与えている小骨が肥満の原因といわれるものです。原因は複数の項目であることが一般的です。そして、肥満に影響を大きく与えるものと小さな影響を与えるものが混在しています。肥満という問題を解決するためには、肥満に影響を与える小骨を的確に捉えることが第一歩となります。QC7つ道具の中でも魚の骨図(特性要因図)はもっとも基本となる手法です。

結果と要因(プロセス)は一体のもの

 あるとき会社の先輩から、品質管理を極める上でもっとも大切なことは「果因(かいん)の法則」という考え方を身につけることだと言われました。結には必ずその結果を生み出す要があるという考えです。悪い結果、すなわち問題が発生した場合、何が原因で問題が発生したのかを突き止めます。仮に、良い結果が出た場合でも、なぜ良い結果が出せたのかを自問するのです。

 あまりにも当然過ぎる考えです。しかしこれまでの半生を振り返ったとき、「果因の法則」という考えが自分の人生に大きな影響を与えたことに思い至るのです。

 普段、物事を進めるとき、今までのやり方あるいは過ごし方に疑問を挟むことなく、今までと同じように取り組みます。そして、物事を進め終わった時、その結果になんの疑問を抱くことなく、次の物事に取り掛かります。しかし、時として物事が失敗に終わることがあります。その失敗から大きな打撃を受けたとき、初めてその原因を考えるのが普通です。

 つまり、自分が痛みを感じる失敗がない限り、同じことを何の疑問も挟まず繰り返すのです。この状態をぴたり言い表す言葉があります。「マンネリ」です。マンネリ的仕事の進め方は楽です。しかし、なかなか進歩や成長は得られません。
 (注)マンネリとは、「同じやり方が繰り返されて、新しさが感じられないこと」

 行動を起こす前に、結果を意識する習慣が身につくとどうなるでしょう。結果を意識するということは目標を意識することと重なります。そして、実際の結果が出たとき、事前に目指した結果、即ち目標との差を自覚します。もし目標を達成できたら、達成感を味わえます。また目標が未達となった場合は、なぜだろうと、その原因・要因を考えることになります。

 果因の法則に沿った考え方が身につくとは、行動を起こす前に目標設定を自然に行えることが習慣化することです。悪い結果を繰り返さない、より良い結果を得たい、と考えたら(目標設定したら)、要因となる小骨のやり方を変えることになります。今までの考え方や手段を変えてみることが重要になってくるのです。

 仕事をてきぱきとこなしていく姿は一見仕事ができるように見えます。しかし、毎回同じ思考、同じ手順の繰り返しで、効率だけを上げているとしたら、いつか壁にぶつかります。壁の存在そのものに気が付かない可能性もあります。

 目標を持つことで、目標達成のための行動に工夫が生まれます。まさしく「果」が先にあり、それに「因」となるプロセスが付随する「果因の法則」が身に付いた思考・行動が生まれるのです。

人生の転機

 今月20日、新潮社から「人生の転機」という本が出版されました。本のあとがきに、著者である西山昭彦さんは、次のように書いています。
「人生を振り返ってみると、学生時代の恩師や会社の上司の一言がその後の生き方を大きく変えるきっかけになることがある。・・・本書に登場した十八人の会社員も、ある言葉がきっかけで、その後の人生を大きく変えることができた人たちである。彼らの経験を、個人の思い出の話にとどめておくのはもったいない、多くの人がそれらの言葉や体験を知り、一つ一つを吟味し吸収すれば。より豊かな人生をおくれるはず。それが、本書執筆の動機である。・・・」

 この本に登場する十八名の一人として私の事例が取り上げられました。私のパートには「イスラエル人ビジネスマンに教わったこと」というちょっと変わったタイトルがついています。内容は、今から17年前の現役時代のエピソードです。

 イスラエル人ビジネスマンが私に語った何気ない一言が、その後の会社員としての仕事の基本姿勢を変えていくきっかけになったのです。そして、私が独立系FPという道に進んだのも、この時の体験、経験がもとになっています。

ファイナンシャル・プランナーへの道のり

 昨年8月、日経ビジネス社のネット配信「セカンドステージ」で、私が会社を早期退社し独立系FPの仕事をスタートした経緯が取り上げられました。「人生の転機」では、現役時代のことが取り上げられています。

 この二つの掲載記事を読み通したとき、現在取り組んでいる独立系FPという仕事を選択する道のりで、現役時代に出会ったイスラエル人ビジネスマンとの会話が大きなきっかけを生んでいることが思い出されます。そして、イスラエル人ビジネスマンの言葉を大きな刺激として受けとめる素地が、職場の先輩から教わった「果因の法則を身につける」というビジネス習慣だったのです。

'09.2.26  木下 利信