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ライスワークとライフワーク


 最近FP仲間の女性から面白い言葉を教わりました。「ライスワーク」という言葉です。ライフワークをもじった表現ですが、なかなか味わいのある言葉だと感心しました。ライスワークとは文字通り「生きるため、食べるために働くこと」です。それに対してライフワークは生きがいそのものだと言えます。

 子ども達に将来何になりたいと質問したら、日本の子ども達は「サッカー選手(男子)」「保育士(女子)」と答え、ベトナムやカンボジアの子ども達は「役人」と第一番に答えることを過去のFPエッセイで紹介しました。

 皆さんが子どもの時、大人になったら何になりたいと思っていましたか、そして大人になった現在、子どもの時の願いが叶ったでしょうか?イチローや松井選手は小学生の時から将来プロ野球選手になりたいと思い、そして今では大リーガーの選手として活躍しています。そして名誉と多大な報酬も手に入れています。しかし、大半の人は、しがないサラリーマンの身や家事に忙しい主婦の姿を嘆いているのが現実ではないでしょうか。

 今の子ども達は、将来何になりたいのか、何をしたいのかを親からも学校の先生からも問い続けられています。しかし、小さな子どもに対してこの質問は、適切なのでしょうか?

 霞ヶ関の若手官僚有志が「新しい霞ヶ関を創る若手の会」という各省庁横断の勉強会を結成し、「霞ヶ関構造改革・プロジェクトK」という本を昨年出版しました。8月中旬、その中心メンバーの一人である文部科学省の若手官僚が出席する集いに顔を出しました。するとこんな質問が参加者から出されたのです、「子ども達を教育する目的は何ですか?」と。若手官僚の答えは「立派な大人になるためです」と極めて簡潔、明瞭でした。私も常日頃まったく同じ考えを持っていたため、この受け答えだけで、文科省の若手官僚に対する信頼感と期待感がぐっと増しました。

 子どもに将来なって欲しいのは立派な大人なのだと思います。立派な大人の定義は中々難しいのですが、少なくとも仕事を通じて収入を得て、家族を養い(あるいは支え)、社会の一員として生活することだと思います。この時、大半の人にとって仕事はライスワークです。

 夜遅くまで働いている父親や、家事に忙しい母親を見て、それらの仕事がつらそうだったり、格好悪く思えたら、親と同じ道を歩みたくないと思うのが自然です。毎日テレビに映し出されるスポーツ選手や芸能人にあこがれても文句は言えません。

 もしライスワークとライフワークが一緒であれば最高です。好きなこと、生きがいを感じることに打ち込んで、それでいて“飯が食える”のですから。でもそれはその分野のプロとして秀でた才能を持ったほんの一部の人です。次に幸せな人は、ライフワークの夢を早々と持ち、その実現に向かって、あるいは準備のため、今のライスワークを頑張れる人でしょう。大半の人は自分のライフワークが良く分からないまま、日々のライスワークに追われています。

 しかし、ライスワークは大切です。勿論「食うため」もありますが、仕事で色々経験を積んで初めて自分の能力(のなさも含めて)を自覚し、その経験を生かして本当の自己実現と社会へのお役立ちが出来る自分の姿をイメージできるようになるからです。つまり、ライスワークはライフワークへの重要なステップとなるのです。

 ライスワークには知識が必要です。そして知識は学校で(全部ではありませんが)学ぶことが出来ます。しかしライフワークには成功も失敗も含めて経験が役立ちます。そして、経験はライスワークを通じて得られるのです。このことを子ども達に分かって欲しいと考えます。

 勉強は、立派な大人になるため、そして立派な大人になるにはしっかりしたライスワークを手に入れる(つまり就職する)ために必要です。しかしライスワークは人生のほんの出発点であり、その先にはまだ分からないライフワークの世界があることを、そして本当に自分が成し遂げたいことを見出し、実践するためには巡り合ったライスワークに真正面から取り組み、意識して経験を積み重ねることが重要なのだということの「手順」を教えて欲しいと考えます。

 人生の本当の勝ち組(余り好きな言葉ではありませんが)は、どんなライスワークに就いたかで決まるのではなく、色々な経験を経て本当にチャレンジしたいライフワークを見出し、それを実践し得ることが出来た人々ではないでしょうか。長寿社会はライフワークに取り組むチャンス、時間をたっぷり我々に与えてくれているのです。

 FPはライフプランの相談に乗ることが仕事ですが、実際はクライアントの「ライスプラン」の相談に費やす時間が大半です。しかし、FPとして仕事の達成感を味わうことが出来るのは、クライアントがそれまでの生活習慣と決別し、将来の希望を抱いて新たな行動を起こす姿を拝見した時です。行動を起こすのは、その先にある目標が明確になった時です。そしてその目標が自分のライフワーク実現のためである時こそ、本人も驚くほどの決断力と行動力が発揮できるのです。

 FPの資格は勉強し知識を学ぶことで取得できます。しかし、FPの実務で評価されるためには何よりも経験がものを言います。その時、ライスプランナーから本当のライフプランナーに脱皮できるのだと思います。

 ライスワークもライフワークも共に人生においては大切なもの、しかし共に簡単なものではないことを改めて噛み締めています。


'06.10.10  木下 利信





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